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病院求人に強い「転職ゴリ薬」が目指す薬剤師の未来像とは?

そうごう薬局の運営や、病医院へのコンサルティングを行っている総合メディカル株式会社(東証一部上場)のグループ会社であり、転職ゴリ薬などの人材サービスを提供している総合メディプロ株式会社の代表取締役社長を務める田代 雅也さんに薬剤師を取り巻く状況について伺ってきました。

ーー 田代さんは今の職に就く以前に、製薬会社から薬局へ転職した経験があるとの事ですが転職のきっかけは何だったのでしょうか?

  将来への不安が一番大きな理由でした。私がMRをしていた時代は薬を売るというよりも自分自身の人柄を売るという時代で、多くの先生に当時所属していた製薬企業の薬を使っていただく事が出来ました。おかげさまで勤務は本当に楽しかったです。

  そんな中、私としてはちょっと疑問をもった薬が出てきたのです。しかし会社としては売上を伸ばさなければいけないので、様々な角度からドクターへPRして使っていただきました。その薬で事故に繋がったわけではありませんが、自分の中でどうしても納得がいかないというモヤモヤが消えませんでした。このまま続けていても自分の理想とする医療の未来像には貢献できないという不安を覚えた点が一番の理由です。

ーー ここ最近はどういった理由で転職をする薬剤師が多いのでしょうか?

 人それぞれ様々な理由がありますが、最近はどちらかと言うと就労環境を重視される方が多いように思います。少し前までは給与という条件が前提での転職が多かったのですが最近は勤務地・勤務時間・職場の雰囲気といったハード面に対するニーズが高いです。ハード面がマッチすればある程度給与を譲ってでも転職したいという方が多いですね。

ーー 売り手市場で薬剤師の待遇が良くなればなるほどハード面に対するニーズは高まるのでしょうか?

 そうですね、待遇自体が自分の想像しているものよりも今は大きくなっているのだと思います。以前は年収450万を希望していても市場に出ている求人は年収400万前後が多かったのです。そこに年収500万の求人が出ると多くの人が飛びつきますよね。しかし今は年収500万という求人が普通に出ていますので、その状態で年収550万、600万の求人にみんなが飛びつくかというとそうでもない。金額に飛 びつく人が少なくなってきたなと感じます。

ーー 転職を希望する薬剤師に一番人気の職種は何でしょうか?

 難しい質問ですね。一番人気という訳ではありませんが多くの人が希望するのは調剤薬局です。希望者が多い要因として考えられる理由は市場が大きいという点です。病院の件数と調剤薬局の件数で比べたら圧倒的に調剤薬局の件数が多いので希望者も多いという訳です。

 それから融通がききやすいというのも調剤薬局が人気の理由です。これは先程の質問にも付随するのですが、条件とか雰囲気を重視するのであれば勤務時間も大事な要素になってきますよね。病院ですと医師や看護師など薬剤師以外のスタッフもいて勤務時間の調整が難しい場合が多いのですが、調剤薬局は薬剤師が中心となって回しますので融通がききやすいのです。

 もう1つ、私もこの転職支援の仕事をするまであまり知らなかったのですが薬剤師さんは病院には転職出来ないと思い込んでいる人が多いのですよ。たしかに大きな大学病院に転職出来るかどうかというと狭き門になってしまいますが、200床とか300床規模の地域に貢献しているような病院であれば充分に転職出来る範囲なのです。そこをこっちから説明してあげると意外と病院に転職したいという薬剤師さんも出てきますね。

ーー やっぱり病院への転職は人気なのですね。企業の管理薬剤師なんかも人気高そうなイメージですけど実際はどうでしょうか?

 純粋に人気という点で考えると企業の管理薬剤師の人気は圧倒的です。特に30代から40代の女性には人気があります。企業は土日休み、18時終わりが多いのでそこが強みになっているのだと思います。土日祝日休み、9時〜18時の勤務というのは薬剤師さんにとって憧れの条件なのです。なので企業の管理薬剤師はプライベートや家庭を重視したいという女性の方に凄く人気があります。先日も企業の管理薬剤師の求人案件を掲載したら3日で10人以上の反響がありました。

ーー 企業の管理薬剤師というのは具体的にどんな案件になるのしょうか?

 よくあるのが化粧品を輸入している会社の管理薬剤師です。それから医療機器メーカーもたまにあります。医療機器メーカーになぜ薬剤師が必要なのか私も分からなかったので企業側に聞いてみたところ「医療機器を洗浄する洗浄液が医薬品だから薬剤師免許を持った人が必要なんだ。」と教えてくれました。

 この手の企業に1人いれば大丈夫というような内勤職の管理薬剤師は非常に人気が高いです。逆に、企業の薬剤師職の中でも不人気なのがMRや治験コーディネーター。この辺は案件は多いのですが希望する人は少ないですね。

ーー 企業の管理薬剤師案件はどのくらいの頻度で出てくるのでしょうか?

 月に1件はなんだかんだ出てきます。ただし本当に月1件くらいのペースです。出てくる地域もだいたい決まっていて東京と大阪がほとんどです。

ーー「転職ゴリ薬」のサービスとしての強みを教えて下さい。

 「転職ゴリ薬」の運営会社である総合メディプロは総合メディカルのグループ会社となりまして、総合メディカルは主に医療機関をトータルサポートしている会社になります。事業でいいますと調剤薬局事業、病床に置かれるテレビのレンタル事業やクリニックの開業支援、ドクターの転職支援などを実施しております。そのグループ会社が運営する「転職ゴリ薬」では、病院に対しての薬剤師の転職に力をいれております。グループがあることによって、病院の細かな情報をリサーチできる点は他社にはない強みです。

 その他に派遣事業にも力をいれております。当社の派遣事業の目指すところは「本当にスペシャルな派遣」です。調剤薬局での研修や専門知識を習得出来る態勢を整えることによってスペシャルな薬剤師さんを派遣していきたいと考えております。

ーー 調剤薬局での研修はグループ会社の薬局で実施していくのでしょうか?

 そうですね、親会社の調剤薬局で行います。ブランクのある薬剤師さんがいきなり派遣で現場に立つとなると本人も不安が大きいと思いますし、慣れるまで足手まといになってしまう可能性がありますよね。その予防策として親会社の運営する薬局で2週間ほどの研修勤務をしてから、派遣先で頑張ってもらうのが一番いい形かなと考えております。具体的にどう実施していくのかは、今ちょうど打ち合わせを進めている最中です。

ーー 「転職ゴリ薬」の今後の展開をお聞かせ下さい。

 これから先、2025年が高齢化社会のピークになってくると思います。その高齢化にあわせてどのような薬剤師が活躍しなければいけないのかを考えると、インサイドの薬剤師だけでなくアウトサイドの薬剤師が重要になってきます。それから専門性の高い薬剤師。それを踏まえて考えると従来のように普通の調剤が出来る薬剤師を紹介するだけでなく、在宅医療に特化した薬剤師の紹介事業が必要になります。その事業は、これまでのような登録型で薬剤師を集めるだけでなく、研修やセミナーなどを組み合わせる形でやって行こうと考えております。

 それから高齢化が進むにつれて、専門性の高い薬剤師へのニーズが高まってくると思いますので糖尿病専門薬剤師や高血圧専門薬剤師のような専門性の高い薬剤師の育成もサポートしていきたいと考えております。製薬メーカーとタイアップした研修なんかもやっていきたいですね。そして専門性の高い薬剤師を必要としている医療機関にピンポイントで紹介していきたいです。現状では専門薬剤師の資格を持っていてもそれを必要としない職場で働いている薬剤師さんも多いので、そこのミスマッチングを改善する動きを転職ゴリ薬としてはやっていきたいです。

 その他に弊社では「看護師プロ」をやっておりましてこのフィールドをもっと広げていこうと考えています。看護師以外のコメディカル(PT、OT、STなど)にもフィールドを広げ、人材紹介・派遣という枠に捕われることなく、研修などの人材教育の分野も伸ばすことによって医療機関の経営をサポートしていきたいですね。

ーー 最後に転職を考えている薬剤師の方へ一言メッセージをお願いします。

 私の転職に対する持論は「始めはトコトン慎重に、いいところがあれば大胆に」です。いつの時代でも環境は常に変化しておりますので「転職に今の時期が良いとか悪いというのはない」と思っています。自分自身でどのような目的があり何をしたいのかを理解していれば、それに相応しい仕事に巡り合うことが可能だと思います。

 そしてこれだと思ったら躊躇せずに転職を決断して欲しいですね。ただし、自分の望む条件や将来の目標が固まっていない段階では慎重になるべきだと思います。やりたい事がなくボヤっとした状態で転職しても得られるものは少ないですからね。

 私たちに出来る事は、目標・目的を持った方の条件にマッチする職場をピンポイントで提案することです。そしてこれだと思う職場に巡り合えた時は「是非とも大胆に決断してもらいたい!」と思います。

田代 雅也総合メディプロ代表取締役 田代 雅也

薬科大学を卒業後にMRとして活躍したのちに薬局へと転職し、現在は総合メディプロの代表取締役を務める。

転職ゴリ薬 公式サイト




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